第二フェーズ・キックオフシンポジウム

【来賓挨拶】
安全・安心で持続可能な活力ある社会の実現に期待

玉上晃氏 文部科学省大臣官房審議官

2018年11月、文部科学省中央教育審議会は、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を発表しました。そこには、国立大学の役割として、世界及び我が国の「知」をリードする研究・教育を推進する役割、イノベーション創造のための知と人材の集積拠点としての役割、Society5.0の実現に向けた人材養成など計画的な人材養成の役割、経済的な観点からの需要は必ずしも多くはないが重要な学問分野の継承・発展のため存続が必要な学問分野の維持や、理工系分野など教育研究の施設整備に多額の予算を要するため財政的な負担を伴う教育・研究を推進する役割、などが考えられると明記されています。

玉上晃氏

これに加え、地域の活性化という観点から、地域の教育・研究拠点としての役割が引き続き重要視されている他、リカレント教育、留学生の交流、産学連携や国際展開、教育組織間の連携などにおいて、積極的で先導的な役割を果たしていただくことを、国立大学に期待しています。

昨今、IoT、ビッグデータ、AIなどを活用した先進技術が新たな価値を生み出し、多様かつ潜在的なニーズに対して、きめ細かなモノやサービスの提供が可能になると期待されています。しかし、こうした革新的な便益を追求する一方で、その裏に潜むリスクに対応するため、それぞれのリスクをいかに捉えて解析評価していくかということが、Society5.0を適切に先導するカギになると言われています。

横浜国立大学は、「21世紀グローバル新時代で活躍できる人材育成を、横浜・神奈川という地域に根差した文理融合キャンパスのYNUで実践し、分野・部局を超えた横断的な教育、研究、社会貢献を推進することで、グローバル・エクセレンス大学を目指す」という中期計画を掲げておられます。さらに教育戦略、研究戦略、国際地域戦略といった3つの戦略を示し、特に研究戦略では、世界を先導する新学術領域の創生を目指し、選択と集中による最先端研究拠点への重点的なリソース投入を行うことで、将来、社会の概念を革新する新しい学術領域を創生し、世界を先導することを掲げています。

こうしたビジョンを実現するため、横浜国立大学は世界の持続的発展に資するリスク共生学に基づく教育研究拠点として先端科学高等研究院(IAS)を設置し、グローバル社会が直面する多様なリスクに対応することで、世界の持続的発展に貢献できるグローバル人材養成に取り組んでおられます。第二フェーズを迎えた今、先進的なサイバーセキュリティに関する研究戦略に加え、道路や橋梁、石油プラントなどの社会インフラに対する脆弱性評価や、健全性の向上に関する研究が計画され、さらに並行して新たな社会価値創出によるイノベーション推進、そのための考え方と方法論などの研究がおこなわれるとお聞きしています。

冒頭に紹介した「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」にも合致している、先端科学高等研究院(IAS)の取り組みを強力に推進することで、グローバル社会に欠かせない新たな視点によるリスクマネジメントと、新たな技術システムによる社会イノベーションが実現され、我が国を核とした成長戦略、すなわち安全・安心で持続可能な活力ある社会のグローバルな展開につながることを期待しています。

講演動画