「Society5.0を先導するサイバーフィジカルセキュリティ×イノベーション」
時代は、情報社会から実世界とサイバー空間が相互連携した社会(サイバーフィジカルシステム/IoT社会)へと変化しつつあります。「サイバーフィジカルシステム」とは、実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析/知識化を行い、そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくもの(JEITAによる定義)であり、生活をより豊かにすることはもちろん、超少子高齢化や環境・エネルギー問題などの社会問題を解決するものとして期待されています。シンポジウム後半、こうした社会におけるセキュリティとイノベーションをテーマに、ディスカッションが行われました。冒頭、モデレーターを務めた松本勉教授より、次のような問題提起がありました。
「サイバーフィジカルシステムのプロセスは、IoTにより収集されたデータをストレージに蓄積し、人工知能(AI)によって解析した上で、制御やサービスといった形でフィジカルな世界へ還元するというものです。このプロセスにおいて、通信、蓄積、商品のセキュリティはもちろん、最近ではAIのセキュリティが挙げられます。AIでセキュリティを守ることもありますが、AI自体が攻撃対象になることもあります。そういった時に、誰を信頼すればいいのかという管理やトラストの問題が非常に重要になってきます。こうした技術の持続可能な利用を実現する上で、計算リソース、エネルギー、あるいは需要の問題、環境の変化、セキュリティや未知の脅威への対応など、課題は山積されています。さらに、何を標準化するのか、どこで競い合うのかといった事も重要になってきます。」
松本勉教授からの問題提起を受け、「イノベーション」という観点から、三菱電機株式会社情報技術総合研究所情報セキュリティ技術部長の米田健氏が、同社が参加する「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」における「ファクトリセキュリティ・プロジェクト」の概要を説明。続いて、吉岡克成准教授より、「セキュリティ」の観点から、IASの研究成果が紹介されました。ディスカッション終了後は、梅原出教授が統括の言葉を述べ、シンポジウムが幕を閉じました。