「知の統合型大学」として世界水準の研究大学を目指す

横浜国立大学は、近代日本開化の地となって以来、産業集積地として日本の発展を支えるとともに、世界が抱える様々な課題が先鋭に現れる横浜・神奈川にあって、中規模でありながら人文系、社会系、理工系など多様な分野の教員がOne Campusに集う強みを有し、県内唯一の国立総合大学として存在しています。その強みを生かし、常に世界水準の研究を育みつつ、先鋭的な知を統合して地域の諸課題に柔軟かつ機動的に対応し、新たな「地方の時代」を牽引するとともに、その相乗効果を生むプロセスに学生も参画させるなどして、所与の規模・条件を越えて、「『総合知による社会変革』と『知・人への投資』の好循環」を支え、地球規模の課題解決に向け光彩を放ちうる「知の統合型大学」となることを本学のあるべき将来像として描いております。
本学は、建学以来の理念(実践性、先進性、開放性、国際性)の下に、人文系、社会系、理工系などの多様な専門性を有する教員がOne Campusに集う中で蓄積してきた社会実践を重視した教育研究や各分野における第一線の学術研究の成果の上に、国と地域のイノベーション創出の中心的役割を果たすべく、多様な学術知・実践知を動員し、自治体、産業界、市民等の多様なステークホルダーと国内外を問わず分野を越えてオープンに連携することで、新たな社会・経済システムの構築やイノベーションの創出・科学技術の発展に資する「知の統合型大学」として世界水準の研究大学を目指します。

「ナンバーワン」の研究を目指すIAS、「オンリーワン」の研究を目指すIMSを両輪に

 横浜国立大学においては、2014年に10月に先端科学高等研究院(以下、IAS)を設置し、2023年4月には新たに総合学術高等研究院(以下、IMS)の創設に至りました。
昨今の世界的な情勢は目まぐるしく変革し、これに伴い、多くの社会課題や歪が生じています。このことから、Society5.0においては、「国民の安全と安心を確保する持続可能で強靭な社会」「一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)が実現できる社会」の実現を目指すこととし、国立大学はその実現に向けて、社会を牽引していく役割を果たす必要があります。
 大学が使命を果たすためには、①独創的な技術革新を進めること、②現代特有の問題・社会課題を解決するための分野や組織を超えた知の結集、という2つのアプローチが必要と考えており、先鋭的な研究分野・領域で世界トップを目指す研究組織であるIAS、本学として、この様な未来や社会を創りたいという主体的なビジョンを掲げ、その実現に向けて、分野横断かつ要素研究から社会実装までを推進する研究組織であるIMSを両輪とし、これからの未来社会を牽引してまいりたいと考えています。

 
横浜国立大学長
兼先端科学高等研究院長
・総合学術高等研究院長
梅原 出