具本埈IMS助教(リスク共生社会創造センター)

研究者プロフィール

・氏名:具 本埈(Koo Bonjun)
・総合学術高等研究院での所属と役職・役割:リスク共生社会創造センター IMS助教
・主な研究分野:災害リスクマネジメント、超学際研究

具本埈IMS助教

 具本埈IMS助教は、韓国の大学の新素材工学部で学士号を取得し、京都大学の都市社会工学専攻で修士号と博士号を取得しました。具本埈IMS助教は、多くの国で豊富な研究経験を積んでいます。
 大学生の時、韓国の政府開発援助(ODA)を実施する政府機関である韓国国際協力団(KOICA)の国際協力要員として、モンゴルに派遣され、現地の大学生に専門知識を教えていました。この時に、モンゴルの大気汚染の問題に強く関心を持ち、途上国の環境と災害に対する研究をしていきたいと思いました。韓国に帰国し、大学を卒業後、国際機関であるGlobal Green Growth Institute(GGGI)に入り、途上国のグリーン成長を支援するため、それぞれの国のグリーン成長戦略を開発する研究に携わりました。さまざまな専門家との協力関係の中で、より高度で国際的な学者になりたいという夢が芽生え、日本が環境と防災の分野で世界の先端でもあることから、2016年に京都大学の修士と博士課程に進むことを決意しました。修士課程と博士課程では、住民参加型手法を用いて大気汚染の問題を解決する研究に取り組んでいました。さらに、博士課程の途中で奨学金を受けて、半年間アイスランドでも大気汚染の研究を行いました。博士号を取得した後、総合地球環境学研究所で研究経験を積み、そして2022年12月には、日本における安全工学の発祥地として名高い横浜国立大学に着任しました。
 横浜国立大学での研究を通じて、多くのステークホルダーと協力しながら研究を展開し、社会変化に向けて持続的に努力を重ねるという超学際研究の分野で成果を上げ、地域社会に貢献したいと具本埈IMS助教は考えています。

IMSの研究環境と雰囲気についての感想を聞かせてください

 IMSに来て、ここの自由な雰囲気に魅了されました。何かを提案すると、皆がサポートしてくれ、多くのことが達成できました。最近では、横浜国立大学で開催された内閣府主催の「ぼうさいこくたい2023」において、「ぼうさいこくたい子ども会議2023」のプログラムに参画しました。ここでも、準備段階から様々な協力を得て、大成功を収めることができました。
 また、IMSは国際的な研究組織です。韓国だけではなく、ノルウェーなど様々な研究機関と積極的に交流しています。私自身は最近、韓国と中国へ出張し、自分のプロジェクトに関する打ち合わせや現地調査を行いました。
 もう一つ素晴らしい点は、コミュニケーションが取りやすい職場であることです。私は何か相談したい事があれば迷わずセンター長や他の先生、そしてスタッフの皆さんに相談します。このような場所に来られて、本当に幸運だと感じています。

リスク共生社会創造センターがある理学研究棟前にて

今後の日本生活について、特に期待していることは何ですか

 以前、ある先生から、「日本の生活や研究方法に馴染んでいるね。」と言われたことがあります。韓国の職場では、スピード感が大事です。それに対して、日本では仕事を進める際に、ひとつひとつ、一緒に確認しながら進めていく雰囲気があります。私の性格は後者に合っているのかもしれません。また、社会的な面では、日本はプライバシーを尊重する社会なので、他人の領域を侵害しないように心がけています。仕事でも生活でも、私は日本の環境と調和できるよう、日本での生活を楽しんでいきたいと思います。
 また、私は野球が大好きです。韓国での大学時代にはよく野球をプレーし、日本に来てからも試合をよく観戦しています。もう10年以上プレーしていませんが、もし機会があれば、社会人野球チームや教職員野球チームに参加し、皆さんと楽しむことができたら嬉しいです。これも、今後の楽しみの一つです。
 横浜国立大学に着任後、初めて院生の指導を行いました。今の若い世代は、自分の意見を率直に述べることに驚きました。この素直さのお陰で、学生との距離感が縮まりました。私は、このような関係と雰囲気を好んでいます。また、研究の指導の際、私のアドバイスで学生の研究成果物が改善された時、学生指導に価値を感じ、充実感を得ました。今後も、学生との交流を楽しみにしています。

今までの人生について、100点満点で自己評価するとしたら、何点だと思いますか

 80点から90点ほどだと考えています。今までの人生を振り返ると、様々な貴重な経験を積んできました。20代から30代にかけて、モンゴルでの国際支援活動、日本での研究生活、国際機関での勤務など、幅広い経験を積んできました。その後、博士号を取得し、日本での仕事や生活の目標も達成しました。さらに、家庭を持つこともできました。
 現在、私はさらなる能力の向上を目指し、より良いキャリアを築く方向に取り組んでいます。これらの目標を達成することで、100点に達するかもしれないと思っています。

今後の人生目標について教えてください

 研究上の目標として、超学際研究分野の第一人者になることを掲げています。超学際研究分野に関心を寄せる研究者はまだ少ないですが、横浜国立大学での研究を通じて、超学際研究において、多くの方々が私を専門家として思い出していただけるようになりたいと考えています。これは、私の研究に対する志です。
 国際交流の目標として、これまでの経験で築いた国際的なネットワークを活用し、国際的な研究者との共同研究や友好交流を促進し、国際的なハブとしての役割を果たすことを考えています。これまでの経験は、韓国だけでなく、日本、アイスランド、モンゴル、国際機関での研究経験を通じて、多くの国際的なコネクションを築く機会に繋がり、今後の架け橋としての役割を果たす基盤となっています。
 研究者としての目標は、オープンマインドな研究者になることです。世の中の全てを理解している人は決していないと思います。今後の人生でも、分からないことは分からないと認め、できないことはできないと言う勇気を持ちながら、異なる意見を柔軟に受け入れつつ、自己成長を追求していきたいと思います。