「リスク共生」のコンセプトのもと、社会実装を見据えた実践的研究の拠点に
長谷部勇一 高等研究院長・学長
21世紀に入り、急速に発展するグローバル社会では、AI(人口知能)、IoT(モノのインターネット)といった科学技術が急速に発展しています。その一方で、環境資源・エネルギー問題、大規模自然災害の頻発、情報セキュリティ上の脅威などが大きな課題となっています。これらの課題に取り組み、人類の持続可能な発展やSDGs(持続可能な開発目標)に寄与するために、学問の発展と新たな価値に繋がる知の創出やイノベーションの創造に貢献することが、国立大学の使命だと考えております。
横浜国立大学はこうした使命を果たすため「安全・安心で持続可能な社会」への貢献を目指す、文理融合による実践的学術の国際拠点として、平成26年10月、先端科学高等研究院(IAS)を創設しました。
IASは、学長である私自身が高等研究院長を務めることで、研究分野の選択、教員の選考、組織運営をトップダウンで行い、それまで各部局に分散していた「資源」を集約した学長直轄の全学的な教育研究施設とし、国際共著論文の増加などを図って参りました。こうしたIASの第一フェーズの取り組みが文部科学省から高く評価され、IAS運営における補助金は平成29年度で終了したものの、平成30年度より基幹経費化され、本学の運営費交付金に組み込むことができました。
これを機に、IASの研究タッグによる新分野の開拓を行い、その成果の社会実装を推進することで、社会により一層貢献するIASの研究活動は第二フェーズへと移行しています。第二フェーズでは、第一フェーズで構築された研究拠点を再編成し、「リスク共生」というコンセプトのもと、共創的な革新、産官学連携で新しく作り上げるイノベーション、さらにこれらを作り上げる戦略とマネジメントによって価値創出を行い、それを積極的に社会実装する実践的研究に取り組む方針を掲げています。
本シンポジウムでは、IASの第二フェーズの方針や活動成果の一端を、参加者の皆さまとIASの研究員が共有し、異なる学問知の融合を成すことで、課題解決を目指せるよう、有機的に人と人とが繋がり、新たなネットワークが誕生することを期待しています。