野陽三 上席特別教授 日本学士院賞受賞講演会開催報告
2019年6月25日,横浜国立大学先端科学高等研究院 藤野陽三 上席特別教授の日本学士院賞受賞を記念した講演会を開催しました。
藤野上席特別教授のこれまでの国内外における学術へ多大なる貢献が認められ,2019年6月17日に上野の日本学士院で,天皇皇后両陛下がご臨席される中で,日本学士院第109回授賞式が行われました。
日本学士院賞は,文部科学省の特別な機関である日本学士院が学術に顕著な功績があった科学者に贈る賞で,毎年9件以内しか授与されない名誉ある賞です。これまでの同賞受賞者には,ノーベル賞を受賞した小林誠,山中伸弥,本庶佑博士など,非常に著名な学者が並んでいます。
本学卒業生としては,藤嶋昭前東京理科大学長,東京理科大栄誉教授(1966年工学部卒)や東京大学大学院の相田卓三教授(1979年工学部卒)が本賞を受賞されていますが,本学現職教員による受賞は初の快挙です。
当日の講演会には理系文系を問わず多くの学生が参加しました。(写真1 当日の講演会場の様子)。講演タイトルは「橋からインフラに,そして都市に-私の辿ってきた道,皆さんへの期待-」として,藤野上席特別教授に学生時代の学生生活や留学体験や,なぜ橋梁を研究のテーマに選ばれたのかなど,研究者としてのルーツをお話しして頂きました。
写真1 当日の講演会の様子
また,橋の微小な揺れが群集の同期歩行に繋がり有意な振動に成長することを,画像技術を用いて世界で初めて明らかにしたことをきっかけに藤野上席特別教授が新たに確立された学術分野である「構造制御学」の一例として,橋の振動を制御する同調液体ダンパーの仕組みに対して模型を使いながら分かりやすく説明して頂きました。
さらに,学生に対して国際的に自身の研究を通して社会貢献することの喜び,自身の専門の縦の繋がりにとらわれず異分野との横の繋がりを持つことの大切を藤野上席特別教授の実体験を交えながらお話して頂きました。講演に対する学生のアンケートには「これからの新しい時代を担う人材になりたいです」,「自分の国だけでなくもっと多くの国で貢献したいと思いました」,「どのような選択をしてもチャレンジした先にそれぞれの出会いや学びがあることが分かりました」などのコメントが寄せられ,多くの学生が藤野上席特別教授の講演で良い刺激を受けました。
写真2 講演中の藤野上席特別教授