エネルギーシステムの安全研究ユニット

ストラトジックプロセスセーフティマネジメント(SPSM)研究会 2020年度活動報告

成果概要

 IASエネルギーシステムの安全研究ユニットでは2020年7月にストラトジックプロセスセーフティマネジメント(SPSM)研究会を立ち上げました。産官学の有志からなる研究会においてリスクベースによるプロセスセーフティマネジメントを国内石化精製・化学プラント事業所に実装する際に必要となる組織論に焦点を当てて、半年間定期的に検討・討議を行いました。本研究会発足後、産業保安の規制の在り方としてリスクベース(RB)アプローチの導入を経済産業省からも提言されています。

 マネジメントシステム構築手法としてゴール・ストラトジー・プロセスから構成されるプロセスベース マネジメントシステムのコンセプトと、それを効果的に導入するための組織・制度観点での実践コンセプトからなる「ストラトジック PSMコンセプト」を立案しました。その中心となるマネジメントプロセスには英国原子力業界でのリスクベース安全管理(セーフティ ケース)手法の中でも安全性を証明する論理分解手法CAEと事故想定シナリオ管理台帳となるフォルトスケジュールをベース  とするリスクマネジメントプロセスを利用することを議論しました。リーダーシップをもった担当者がリスクマネジメントプロセスを通しプロセス安全リスクを管理情報として集約したサポートツールを用いることで、設計・運転・保全に統一したリスク情報による管理が可能になるとの結論に至りました。

 2020年度の取組みの成果として提言書を作成しました。本提言書は、日本型の安全管理手法の更なる高度化のため、「ストラトジック PSM」のコンセプト適用による高度なリスク管理実現の可能性について言及するものであり、SPSMはこれまでのPSMエレメントに加えて、組織・制度、教育・サポートツールを組み合わせてプロセスベースマネジ メントシステムによりRBPS実装を図るコンセプトを示すものです。

提言書公開

提言書ダウンロードはこちら(約0.9MB)
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問い合わせ先

横浜国立大学 先端科学高等研究院 SPSM研究会事務局
ynugr-spsm-ias@ynu.ac.jp